相談者:株式会社Y社・佐藤社長
「ソフトウエアの開発(役務の提供)」の全省庁統一資格の取得を検討しています。資格を取得する前に色々と調べているのですが、「等級区分」や「A・B・C」の違いが分かりません。全省庁統一資格を取得した後、実際に、どれくらいの価格の調達案件に参加できるのか?事前に知ることはできるのでしょうか?
回答者:行政書士
佐藤社長の言う通り、全省庁統一資格を取得した後の「等級」や「ランク」について、理解することは、難しいです。しかし、「等級」「ランク」を知っていると、「どのくらいの価格の案件に参加できるか?」といった予定価格を知ることもできます。このページでは、Y社の数字を参考に、シミュ―レーションをしながら解説させて頂きます。
これから「全省庁統一資格を取得しようと思っている」という人の中には、等級やランクについて、認識が不足している人もいるかもしれません。例えば、
- 「等級区分」の意味が分からない
- 「A」「B」「C」の違いが分からない
- 「B」ランクだったけど、「A」ランクとどう違うの?
- ランクによって、入札できる案件がちがうの?
- 「C」だと、どのくらいの価格の案件に入札できるの?
という方は、多いのではないでしょうか?
特に、「はじめて入札に参加する」「全省庁統一資格をはじめて取得する」といった方は、無理もないかもしれません。等級格付・ABCのランクについては、手引きの細かい部分を読んでいかないと、理解できないからです。そこで、このページでは、公表されている手引きを参考に、全省庁統一資格申請の専門家でもある行政書士法人スマートサイドが、「等級の算出の仕方」や「等級区分ごとの発注予定価格の範囲」について、解説をしていきます。
等級の計算の仕方(付与数値)
回答者:行政書士
まずは、「A」「B」「C」といった等級の算出の根拠となる付与点数の計算から見ていきます。お手元に、御社の財務諸表と電卓をご用意のうえ、数字をあてはめています。「物品の製造」の場合と、「物品の販売・役務の提供・物品の買受」の場合とで、あてはめる表が異なりますので、注意が必要です。
まずは、「A」「B」「C」といった等級の算出の根拠となる付与点数を計算していきましょう。付与点数は「(1)物品の製造」と「(2)物品の販売・役務の提供・物品の買受」ごとに下記の①~⑤の付与数値を合算して算出します。
(1)物品の製造
全省庁統一資格の「物品の製造」は、御社の直前の決算の①~⑤までの、数値を点数化し、その点数の合計で、等級が決定されます。以下の表と御社の財務諸表を参考に合計点を算出してみてください。
項目 | 付与数値(物品の製造) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
①年間平均(生産・販売)高
(直前2年の平均実績高) |
200億円 以上 |
200億円
未満 100億円 以上 |
100億円
未満 50億円 以上 |
50億円
未満 25億円 以上 |
25億円
未満 10億円 以上 |
10億円
未満 5億円 以上 |
60点 | 55点 | 50点 | 45点 | 40点 | 35点 | |
5億円
未満 2.5億円 以上 |
2.5億円
未満 1億円 以上 |
1億円
未満 5000万 以上 |
5000万
未満 2500万 以上 |
2500万
未満 |
- | |
30点 | 25点 | 20点 | 15点 | 10点 | - | |
②自己資本額の合計 | 10億円
以上 |
10億円
未満 1億円 以上 |
1億円
未満 1000万 以上 |
1000万
未満 100万 以上 |
100万
未満 |
- |
10点 | 8点 | 6点 | 4点 | 2点 | - | |
③流動比率 | 140%
以上 |
140%
未満 120% 以上 |
120%
未満 100% 以上 |
100%
未満 |
- | - |
10点 | 8点 | 6点 | 4点 | - | - | |
④営業年数 | 20年
以上 |
20年
未満 10年 以上 |
10年
未満 |
- | - | - |
5点 | 4点 | 3点 | - | - | - | |
⑤設備の額 | 10億円
以上 |
10億円
未満 1億円 以上 |
1億円
未満 5000万 以上 |
5000万
未満 1000万 以上 |
1000万
未満 |
- |
15点 | 12点 | 9点 | 6点 | 3点 | - | |
①~⑤の合計点 = | _点 |
- ②の「自己資本額の合計」は、「貸借対照表の純資産合計」を指します。
- ③の「流動比率(%)」は、「流動資産÷流動負債×100」を言います。
(2)物品の販売・役務の提供・物品の買受
全省庁統一資格の「物品の販売・役務の提供・物品の買受」は、御社の直前の決算の①~④までの、数値を点数化し、その点数の合計で、等級が決定されます。
以下の表と御社の財務諸表を参考に合計点を算出してみてください。
項目 | 付与数値(物品の販売・役務の提供・物品の買受) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
①年間平均(生産・販売)高
(前2ケ年の平均実績高) |
200億円
以上 |
200億円
未満 100億円 以上 |
100億円
未満 50億円 以上 |
50億円
未満 25億円 以上 |
25億円
未満 10億円 以上 |
10億円
未満 5億円 以上 |
65点 | 60点 | 55点 | 50点 | 45点 | 40点 | |
5億円
未満 2.5億円 以上 |
2.5億円
未満 1億円 以上 |
1億円
未満 5000万 以上 |
5000万
未満 2500万 以上 |
2500万未満 | - | |
35点 | 30点 | 25点 | 20点 | 15点 | - | |
②自己資本額の合計 | 10億円以上 | 10億円
未満 1億円 以上 |
1億円
未満 1000万 以上 |
1000万
未満 100万 以上 |
100万
未満 |
- |
15点 | 12点 | 9点 | 6点 | 3点 | - | |
③流動比率 | 140%
以上 |
140%
未満 120% 以上 |
120%
未満 100% 以上 |
100%
未満 |
- | - |
10点 | 8点 | 6点 | 4点 | - | - | |
④営業年数 | 20年
以上 |
20年
未満 10年 以上 |
10年
未満 |
- | - | - |
10点 | 8点 | 6点 | - | - | - | |
①~④の合計点 = | _点 |
- ②の「自己資本額の合計」は、「貸借対照表の純資産合計」を指します。
- ③の「流動比率(%)」は、「流動資産÷流動負債×100」を言います。
(3)実際のシミュレーション
それでは、株式会社Yが「306:ソフトウエア開発」の全省庁統一資格を取得すると仮定して、実際に上記の表にあてはめ、等級をシミュレーションしてみましょう。
<付与点数を算出するために必要な株式会社Yの情報>
- ①:直前2年間の平均売上高→1億2000万円
- ②:自己資本額→8000万円(貸借対照表の純資産の額)
- ③:流動比率→流動資産÷流動負債×100=130%
- ④:営業年数→11年
「ソフトウエア開発」は「役務の提供」に該当しますので、①~④の数字を上記(2)の表にあてはめます。
<株式会社Yの情報を(2)の表にあてはめた結果>
- ①→30点
- ②→9点
- ③→8点
- ④→8点
株式会社Yの数値を表(2)にあてはめた結果は上記の通りになります。
<株式会社Yの合計点>
そうすると株式会社Yの付与数値の合計点(付与点数)は、下記の通り55点になります。
①30点+②9点+③8点+④8点=55点
相談者:株式会社Y社・佐藤社長
わが社の財務状況を「(2)役務の提供」の表にあてはめたところ、付与点数は、合計55点でした。この55点という数字をもとに「等級」と「発注予定価格の範囲」が決定されるということですね。続けて、「等級」と「予定価格の範囲」の確認の仕方を教えてください。
資格の種類別等級区分及び予定価格の範囲
回答者:行政書士
付与数値がわかったら、以下の表に付与点数(=付与数値の合計)をあてはめて「等級」と「予定価格の範囲」を確認していきます。ここでも、「物品の製造」「物品の販売・役務の提供等」「物品の買受」とで、あてはめる表が異なりますので、間違わないように注意してください。
上記の計算式で算出された合計点が、下表の付与点数になります。点数ごとに、「等級」と「予定価格の範囲」が定められています。
(1)物品の製造
付与点数 | 等級 | 予定価格の範囲 |
---|---|---|
90点以上 | A | 3000万円以上 |
80点以上 90点未満 | B | 2000万円以上 3000万円未満 |
55点以上 80点未満 | C | 400万円以上 2000万円未満 |
55点未満 | D | 400万円未満 |
(2)物品の販売・役務の提供等
付与点数 | 等級 | 予定価格の範囲 |
---|---|---|
90点以上 | A | 3000万円以上 |
80点以上 90点未満 | B | 1500万円以上 3000万円未満 |
55点以上 80点未満 | C | 300万円以上 1500万円未満 |
55点未満 | D | 300万円未満 |
(3)物品の買受
付与点数 | 等級 | 予定価格の範囲 |
---|---|---|
70点以上 | A | 1000万円以上 |
50点以上 70点未満 | B | 200万円以上 1000万円未満 |
50点未満 | C | 200万円未満 |
(4)実際のシミュレーション
それでは、前述した株式会社Yが「306:ソフトウエア開発」の全省庁統一資格を取得した場合「等級が何になるか?」「予定価格の範囲がどれくらいか?」を確認してみましょう。
株式会社Yの付与数値の合計点(付与点数)は、55点でした。「306:ソフトウエア開発」は、役務の提供に該当しますので(2)の表にあてはめると「付与点数55点以上80点未満」に該当します。
そのため、株式会社Yの等級ランクは「C」、予定価格の範囲は「300万円以上 1500万円未満」となります。
<株式会社Yの等級ランク・発注予定価格の範囲>
- Y社→「306:ソフトウエア開発」=役務の提供=表(2)
- Y社の等級ランク→Cランク
- 発注予定価格→300万円以上1500万円未満
相談者:株式会社Y社・佐藤社長
現状、わが社が、全省庁統一資格を取得した場合、「306:ソフトウエア開発」の等級はCランク、発注予定価格は300万円以上1500万円未満になるということですね。シミュレーションのおかげで、大体の予算配分や売上目標をより具体的に、理解することができました。いますぐにでも、全省庁統一資格を取得したいと思います。
等級・ランクの調整はできるのか?
相談者:株式会社Y社・佐藤社長
ところで、今回のランクは「C」で良いです。ただ、「C」だと比較的規模の小さな案件にしか入札できないように思います。最初のうちはそれでも良いのですが、今後のことを考えるとできれば「A」や「B」が良いような気もします。「Aランク」になるように申請してもらうことはできますか?もし可能であればで、よいのですが…
回答者:行政書士
残念ながら等級は、財務諸表の数字によって、客観的な審査を経て、格付けされます。そのため、「Aランクがよい」からといって「Aランク」を獲得することができるわけではないのです。売上高を上げたり、財務状況を良くしていく中で、等級アップを検討していくしか方法がないのです。
時折、「CランクをAランクにできないか?」といったご相談を頂くこともありますが、実際に、そういったことはできるのでしょうか?例えばY社の佐藤社長が資格の取得を目指している「ソフトウエアの開発(役務の提供)」を見てみると、
- Cランク→「300万円以上 1500万円未満」
- Aランク→「3000万円以上」
と、予定価格の範囲に大きな開きがあるので、「CランクよりはAランクを取得したい」といった気持ちもわからなくはありません。
しかし、全省庁統一資格を取得するときには、自社の決算書や登記簿謄本などを提出しなければなりません。付与数値の算出に使われる「流動比率」や「営業年数」は、すべて、決算書や登記簿謄本に記載されていますので、実際の数字と違う数字を入力して全省庁統一資格を申請することはできません。
そのため、Aランクがいいからといって、Aランクにすることはできません。Aランクにするには、年間平均高や自己資本の額など、審査項目に使われる数値を地道に上げていく努力をするしか方法がないように思います。
全省庁統一資格の取得でお困りの方へ
相談者:株式会社Y社・佐藤社長
等級や格付けについて、大変よく理解することができました。不安な点は解消されたので、全省庁統一資格の取得手続きのすべてを、行政書士法人スマートサイドに依頼させて頂きます。どうか、お手続きのほど、何卒、よろしくお願いいたします。
回答者:行政書士
等級や格付けについての疑問点が解消されてよかったです。全省庁統一資格の取得手続きのご依頼も誠にありがとうございます。それでは、これから、責任を持って、全省庁統一資格の取得手続きを開始させて頂きますね!
これから、防衛省、環境省、国土交通省といった省庁の入札に参加を検討されている人は、ぜひ全省庁統一資格を申請、取得する前に、自分の会社のランク・格付けがどれくらいになるのか?確認をしてみてください。
また、全省庁統一資格を取得したいと思っているものの、申請の仕方がわからなくて困っているという方は、ぜひ、行政書士法人スマートサイドに下記問い合わせフォームからご連絡下さい。行政書士法人スマートサイドは、全省庁統一資格の申請を大変得意とした行政書士事務所です。
東京都内に限らず、日本全国どこからでも、弊所に依頼することができます。
打ち合わせ不要、数回のメールにご対応して頂くのみで、全省庁統一資格を取得することができます。
御社も全省庁統一資格を取得して、「国」や「省庁」の入札にチャレンジしてみませんか?お困りの際には、下記、問い合わせフォームから行政書士法人スマートサイドまでご連絡ください。